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「えー、俺の膝は全女性のモノで……」
結構本気で嫌だったのだけど、指輪の効力は継続中なのですぐに俺は隣に座った。
魔王はそのまま断りもなしに、俺の磁器のような美しい膝に頭を乗せた。
見下ろす魔王は、何だか急に恐怖が消えて普通の、ただの一人の人間のように見えた。
こいつが、本当に世界を滅ぼしてしまうような恐ろしい奴で、強い四天王を傘下に置いて、エロい触手を扱うのか、想像が出来ない。
「あのう、魔王さん」
「結婚したら、ローと呼べよ」
「あ、はい。あのう、魔王さん」
「なんだ?」
目を閉じた魔王に、恐る恐る尋ねる。
「髪の毛撫でてみてもいいでしょうか?」
急に手を伸ばしてみたくなっただけなんだけど、魔王は片目を少しだけ開ける。
「良かろう。勇者にも触らせたことのない名誉なことだぞ」
「あざーっす」
触ってくれなかっただけだと思う、と言いそうになった言葉を飲み込み触る。
サラサラで、冷たいと感じるほど手で掬ってもはらりと落ちてしまうような溶けてしまいそうに一本いっぽんが柔らかい。
「すげー、絹みたい!」
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