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やわらかく、わたあめみたいに消えていく。
確かに世界で俺だけしかこの気持ちよさは知らないのかもしれない。
「グー」
「なんですか。もう少しだけ触らせといてくださいね」
やわやわと触っていると、魔王は俺の腕を掴んだ。
「お前の笑顔、悪くない」
「え、あ、そうっすか。美形でしょ」
気付いたら、俺と魔王の膝枕に気付いた兵士たちが真っ赤な顔でそそくさと通り過ぎて行く。
俺の護衛は見たくもないのに行ったり来たりしながら遠巻きに俺たちを見ていた。
「俺を見ると怖がるか、蔑むか……怯えるか、涎を垂らしながら足を開く奴らしか今までいなかった」
けっこういろんな人がいますねーっと言いたくて飲み込んだ。
それほど、死んだ目のくせに真面目な顔で言っていたから。
「そんな風に、俺と対等な立場で笑ってくれたり、怯えないで俺を見てくれるのは、お前しか知らない」
「……本当に、俺だけっすか?」
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