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「……お前、むかつくな。触手で緊縛してやろうか」
「むかつくならば、結婚止めた方がいいと思いますよ。俺、三食昼寝付きが条件で、家事も仕事もしないテクニシャン型のヒモなので」
「でもたった一人、世界中で俺が憎まれても、お前だけは俺を愛してくれる、そうだな?」
いや、そんなすっげえ愛情なんて全く目の前の魔王には持ち合わせていません。
ただ、世界中が敵だらけで、たったひとりでも自分を愛してくれる人がほしいのだと、そう思っていることは理解できた。
それを俺が叶えてあげるわけではない。
叶えてあげれるものなら、あげたいけれど、流石に俺は無理だ。
生まれながらに女性に愛されて生きて行く天性のヒモ野郎だし。
「……アンタにもいつか本当に愛する人ができたらいいですね」
「だーかーらー、貴様がなれと言ってるんだ。その存在に」
「ひー首しめないで。触手で首閉めないで!」
ぬるぬる気持ち悪い。
「それとお前、話し方を統一しろ。変な敬語は止めて、もっとフレンドリーに話せ。フレンドリーに」
触手で首を絞めてくる魔王様に、フレンドリーに話せって拷問かよ。
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