976人が本棚に入れています
本棚に追加
『いいか? 馬の尻尾の毛は楽器の弓やお前の尻を叩く鞭に使われるほど高級で、なおかつ硬い。お前の下半身の茂みは鞭のように硬いのか、今一度設定を考え直せ』
「……はい。すんません」
『まあ、電話越しの自慰で許してやる。ほれ、足を広げろ』
「……いやです(馬鹿じゃないの)」
『馬鹿ではない』
だから、なんで心の音声まで聞いてくるんだ。
はあ、と深いため息ごとベッドに倒れ込む。
すると、ガチムチバージョンのレイニンさんが窓から顔を出した。
「自慰って聞こえたんだけど」
「聞かないでください。あと、貴方は女体化の方が見目麗しいので女体化しててください」
「えー、あれ結構魔力喰うんだよね。てか、今、誰と話してるの?」
窓から乗り込んだレイニンさんは、俺の手に持っている触手を見て首を傾げる。
「これ、コードレス触手。携帯電話みたいに、この鈴口をパクパクして相手の声が聞こえてくるんです」
「うわ、最低だね」
最低ですよ。
けれど、リーは、文通から電話に代わって、俺とローの距離が縮まったと喜んでいる。
「ていうか、魔王って君のこと好きじゃないんじゃない?」
レイニンさんは、ローに聞こえないよう触手の鈴口に指を入れて俺だけに囁いた。
最初のコメントを投稿しよう!