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「嘘だよ」
「嘘!?」
俺が言うと、レイニンさんは男らしくガッハハッハと笑う。
「……殺せなかったんだ。あんなに取り乱した勇者を見て、私たちは誰一人殺せなかった」
重い沈黙と共にレイニンさんが地面を見て寂しげに微笑む。
封印の仕方って一体どんな風なことをしたのだろう。
俺は授業を真面目に受けなかったけど、リーならきっと勇者と魔王についての歴史は頭に入ってるんだろうな。
「本当にできるなら、おしえてあげるよ」
「まじっすか。えーっと」
悩んでいたら、俺の部屋の窓枠にガッと手が現れ、そのまま中へ入ってくる。
レイニンさんといい、その手の主と言い、ここ、五階なんすけど。
「おい、グイード。結婚式ができないかもしれないぞ」
現れたのは、美少年ハレムで毎晩遊び呆ける、この国一番のホモ、ユージン王子だ。
「結婚できないなら、したくないんで助かりますけど」
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