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俺も座ると、袋から取り出したショートケーキにロウソクをさしてやった。 「一本でいいわ」 「ああ」 「ハッピバースデー」 「ハッピバースデー……」  マッチでロウソクに火を灯すと。  ドアから二人の警官が駆け込んで来た。 「何やってるんだ? 君たち?」  警官の一人が唖然とした。 「お祝い。私、家族から誕生日を一度も祝ってもらったことがないの。パパとママが寝付いたころにこっそり抜け出してきたの……」 「そうか……」 「どうします?」  二人の警官が腕組をして相談事をしていた。 一人の警官が進み出て、俺の革ジャンを剥ぎ取り、奥に仕舞ってあるサバイバルナイフを取り上げた。 小さな女の子はロウソクの火を消した。 そうだ。 幸せって、誰かに祝ってもらわないと意味がないんだ。 俺は小さな女の子の頬にキスをした。 「お誕生日おめでとう」 「ありがとう。また、いつか祝ってね」 「ああ。約束するよ」 小さな女の子は幸せそうに微笑んでいた。 「こんなに嬉しくて楽しい日がお誕生日なのね。私、忘れないわ」 きっと、これが彼女の最後のバースデーなのだろう。 俺にはまた少女を祝ってやることができるのだろうか?
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