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グングニールの噂
「おい、キール。グングニールの最新情報知りたくねぇ?」
「は?おまえ、またガセネタでツケ払おうとしてないか?」
軽装の男二人が世間話風に話しているが、話題は昔から脅威として語り継がれている女神の鉄槌・グングニール。この力を掌握している国は、世界の覇者として恐れられていた。だがそれがどんな形状をしているかさえ、明らかになってはいない。
「今回はガチモンよ!」
「どうだかなぁ……」
身の安全や保身のために、グングニールの情報を欲しがる者はあとをたたない。だからガセネタだろうが何だろうが、高値で取引される。大概がガセネタであることも否めないため、キールはあまり信用していない。
「聞いてから考える」
「まぁ、いいか。カナハタル国にグングニールがあったって話は知ってるか?」
「ん?あった?ある、じゃないのか?」
最強を誇る大国・カナハタル国。そこにグングニールがあるという話は間違いない。だが何故、情報が過去形なのか。
「……それが、まだ出回っちゃいない情報。お上には当然、誰かが報告してるだろうが、広まっちゃいないだろうよ。何せ……、昨晩の真夜中にカナハタル国で女神の鉄槌が舞い上がったんだから」
それが本当ならば、半日も経っていない新鮮な情報だ。
「ふぅん……」
けれどその情報が有益なのは、このサミタリアス国の上層部や兵職についている者くらい。一般市民には無関係。それくらい関心がないのだ。
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