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通夜になり親戚が集まると、悲しんでいる人はYの両親だけで、他の親戚は表情こそ硬いが、涙で目を腫らしている人はいませんでした。
遺影に写っているYの顔は丸々と太っており、まぶたに付いた脂肪のせいで目は細く、笑っているような表情でした。
Yの一家が住んでいる町は非常に田舎で、古ぼけた火葬場が山奥にひとつあるだけでした。
火葬場の待合室には冷房が無く、真夏になると「こんなんじゃ俺達が死んでしまうわ」と定番のジョークを口走る遺族が必ず出てくるような老朽化が進んだ施設です。
火葬炉の設備は素人目にもかなり古く「あんなんでちゃんと焼けるのか?」と小声で不安を漏らす人もいました。
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