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火葬が終わったことを職員に告げられて、Uさんは眠りから覚めました。
いよいよ骨上げです。あくびをしながら火葬炉に向かうと、職員が首を傾げながら扉と格闘していました。
「すみません、調子が悪いみたいで・・・・・・」職員は乱雑にガチャガチャと音を立てながらドアを何度も引っ張りました。
親戚たちは「またか・・・・・・」と呆れ顔でその様子を見つめていました。
ようやくドアが開いた瞬間です。Uさんは悲鳴を上げてしまいました。
大量の沸騰した油がどっと流れ出てきたからです。
ステンレス台の上が湯気を立てた油で満たされると、床にこぼれ落ちました。
火葬炉の温度設定が狂っていたらしいのです。
死体は生焼けの状態で、大量の脂肪がグツグツと煮えたぎっていたのでした。
親戚の多くはその時に足を火傷したそうです。
「あれはYの嫌がらせですよ」Uさんは言葉を続けました。「除け者にされてつまらない人生を送ったYが、最後の最後に一泡吹かせようとしたんです。私もそうです・・・・・・この足の火傷を見るたびに、Yのことが頭に浮かぶんですから」
Uさんはズボンの裾を上げて、そっと火傷の痕を見せてくれました。
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