『「天趣域」について知ろう』

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「ここが王都タワーです!!!」 「すげえ!でけええええええ!!!」 ―――というわけで、街を案内してもらっている和人だ。 ウキウキのテンションで家を出た俺は、現在、ミルの案内のもと『王国』の首都、『王都』を散策している。 王国というのはミルたちが住んでいるこの国のことだ。 「このタワーは全長600mもあるんですよー」 「なんと、そりゃまたでかい!」 目の前には東京スカイタワーも顔負けの巨大な鉄塔がそびえ立っていた。 なに、でかいだけなら珍しくもないのだが、異世界に来たという異常な状況がテンションを上げさせるのだ。 「さぁさぁ、次は商店街ですよー」 「よしきた!」 俺は見慣れない王都の街並みをきょろきょろ眺めながら、ミルの背中を見失わないようずんずん歩いていく。 なんと言うか、中世と現代が入り混じったような、おかしいというより騒がしい、いや、面白い街並みだ。 レンガ造りの建物に自動ドアが付いていたりする。 首都というだけあってか喧騒も中々のもので、気を抜いているとすぐにはぐれてしまいそうだ。 「あっ、出店ですよ。何か飲み物でも買っていきましょうか」 「おお、ありがとう」 「へいらっしゃい!何にする?」 ミルが「お任せでお願いします」と言うと、愛想のいいおっちゃんは手早く白いドリンクを二つ差し出した。 「おまち!名物のヨーグルトだよ」 「ありがとうございます。お代はこれで」 「おいおいお姉さん、これじゃ多いよ!おーい!」 ミルはお釣りを受け取らずにすたすたと歩き出したので、俺も後ろに続いた。 「いいのか?あれ」 「チップみたいなものですよ。はい、どうぞ」 「おっと、ありがとう」 差し出されたドリンクを手に取る。 容器はしっかりプラスチック製だ。 「ん、うまい!」 味は濃厚なヨーグルト。その名の通りだった。しかし絶品である。 「もうすぐ商店街に入りますよー……おや、何か騒がしいですね」 「う?」 見ると、確かに向こうの方が騒がしい。 それに何やらこちらに近づいてくるような……
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