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「引ったくりだーーーーー!!!」
誰かの叫ぶ声が聞こえた。
見ると、一人の男がバッグを抱えてこちらに疾走してくる。
……あれ?ここって理想郷じゃなかった?
「よし捕まえよう」
「捕まえてもよいのですが、ここはやはり―――」
瞬間、一筋の閃光が駆け抜け、その後電気が走るような音が聞こえた。
「―――専門家に任せることにしましょう」
気がつけば、白いコートのようなものを羽織った人物が、いつの間にか引ったくり犯を抑え込んでいるところだった。
「……全く。白昼堂々、それも私の前で引ったくりとは―――不届き千万!」
よく見ると白服の人物は『帯電』しているようであった。引ったくり犯はのびている。
それにしても……
「何が起こったんだ……?」
一瞬で現れて一瞬で犯人を組み伏せたというのか。
まるで『雷』みたいな奴だ。
「副隊長!」
「うむ、ご苦労様です。この者を連行して下さい」
「はっ!」
雷の白服はゆっくり立ち上がると、後から来た同じような白服を着た二人に命じ、引ったくり犯をどこかへ連れていかせたようだった。
「な、なあミル、あの白服の人達は何なんだ?」
「あぁ、あの人達は『王国騎士団』ですよ。その中でも『警ら隊』と呼ばれる人達ですね」
「王国騎士団?警ら隊……?」
「王国騎士団は、民と国を守る王直属の騎士達です。警ら隊は犯罪の捜査、治安維持などに努めていますね」
ほへー、なるほど。簡単に言えば警察みたいなものか。
「……ん?おお、ミル!ミルじゃないですか!」
と、さっきの白服の人がこちらに駆け寄ってきた。
「お久しぶりです、雷々さん。見事な腕前でした」
「うむ、ありがとう!白昼堂々と盗みを働くとは、全く、許せない行為です」
よく見ると、金色の髪を人束に纏めた女性であることが分かった。
が、それより何より腰にかけられた刀のようなものがどうも気になって仕方が無い。
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