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「おお、ミル!久しぶりっすねー。元気してた?」
「お久しぶりですマーリンさん。お陰様で元気ですよ。ところで、和人さんを離してあげてください。今日は別の用件で来たんです」
「なんと、ミルの知り合いだったっすか!これは失敬」
うおっ、と。
助かった……ミルが大天使に見える……
「それで、用件は?」
「ええ。実はお母様の紹介で、和人さんのことについて」
「へえ、シオンの?」
マーリンは俺の顔をまじまじと見つめ始めた。
「ふーむ。和人君、よかったらキミから聞かせてくれないか?立ち話もなんだから、どうぞ奥へ」
「それは勿論」
相変わらずふよふよと浮いたまま移動するマーリンに続き、俺達は奥の部屋へと進んでいった。
「さ、入ってくれっす!」
「お邪魔します」
「お、お邪魔します」
その部屋は、まぁなんと言うか、一言で言うなら汚かった。
掃除されていないというよりも整理整頓がされていないと言った感じで、妙な図式……恐らく魔法陣か?……が所狭しと散りばめられた部屋だった。
「いやぁ、ごめんね汚くって。すぐ片付けるから」
「俺はこのままで大丈夫だよ」
「私も大丈夫です」
「いいからいいから。ほいっ」
マーリンが指をちょいっと振ると、そこから魔法陣が現れ、先程まで散らばっていた紙が一瞬でどこかに消えてしまった。
「お見事です、マーリンさん」
「す、すごい……これも魔術?」
「いやー、それほどでもあるっす。ちょっと転移魔術で片付けたんすよー」
満更でもない顔でくせっ毛をくるくる遊ばせながら、マーリンはどすっとソファーに腰をかけた。
「ささ、和人君もミルも座るっす」
「じゃ、じゃあ、遠慮なく」
「失礼します」
俺とミルも対面のソファーに腰を下ろした。
「飲み物は何にする?」
「いや、お構いなく」
「私も大丈夫です」
「そかそか。それじゃ、早速お話を聞かせてくれるかい?」
「あぁ、実は……」
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