『「天趣域」について知ろう』

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「ま、光の珠についてはよく分からないけど、なにか特殊な力が宿ったかもしれないっていうなら調べてみればいいんスよ。ほら手を出して」 マーリンは自身の掌の上に魔法陣を広げると、それをこちらへ差し出した。 「えっと、調べるって?」 「解析魔術っす。同意の元で魔法陣が相手に触れると、相手の筋肉や骨格、血の巡りから魔力の流れまでなんでもお見通しの魔術っす。正しくは第三型接触式高度情報分析魔術といって、その原理は」 「わ、分かった分かった。この魔法陣に触れればいいんだろ?」 話を続けるマーリンを遮り、俺は掌を重ねた。 「……であるから、全身に巡る魔力から肉体の変化を読み取り……およ?」 と、マーリンの口が止まる。 「どうかした?」 「……いや、馬鹿な。こんなことは有り得ないっす。肉体は至って普通……でもこれは……」 何かがおかしいのだろうか…… 戸惑うマーリンに俺の不安は高まる。 「あの、マーリンさん。そろそろ結果を教えて頂けませんか?」 そんな不安を察してくれたのか、ミルがマーリンに尋ねた。 マーリンは少し悩んだ後、俺とミルの疑問に答えた。 「……結論から言おう。和人くん、キミの体からは『魔力が感じられない』んだ」 「「へ……?」」 一瞬の静寂の後、俺とミルは揃って間抜けな声を上げた。 「そんな……待ってくれ。魔力ってのは誰にでも宿るものなんだろ?確か魔力が完全になくなれば、死ぬって……」 「和人さん死んじゃうんですか!?」 「まあ待ってくれ。まずは落ち着いて話を聞いて欲しいっす」 戸惑う俺とミルを制止し、マーリンはゆっくりと話し始めた。 「まず、さっき和人君が言った通り、魔力が枯れることは即ち死を意味する。だから和人君の中にも魔力は流れているはずなんスよ」 よ、よかった……どうやら死人として異世界に紛れ込んだとかってわけじゃなさそうだ。 「でも和人君の魔力は全くと言っていいほど感知できない。自分クラスの魔術師が、接触して直に魔術を用いて調べないと分からない程にね。さっき私が転移術式を発動した時、その座標に居るはずの和人君を感知できなかったのもそのためだと思うっす」
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