『「天趣域」について知ろう』

13/14
前へ
/26ページ
次へ
「だけどそこは天才魔術師マーリンちゃん。キミの中に流れる微量の魔力を解析したっす」 「あ、あの一瞬で……」 「結果、キミの中の魔力は『何か別の力に変えられている』ことが分かったんスよ」 「別の力……?」 マーリンはひと息吐くと、話を続ける。 「キミの魔力は別の力に変化させられている。というより、キミの体がそうさせているんだ。つまりキミは魔力とは別の強力な何かで動いているってことっす。筋力が増したのはそのせい、恐らくは空腹も魔力を変換する際に使うエネルギーの消費、及び魔力の補給によって引き起こされているんだろう」 「なるほど……さすが」 「まぁ天才っすからね。そして魔力の変換ははっきり言って異例だ。異常と言ってもいい。きっとキミが掴んだ『光の珠』がそうさせていると見て間違いなさそうっす」 光の珠……『理想』の影響、か。 取りあえず命に別状はなさそうだけど、そうなってくると気になることが出てくる。 「マーリンさん。では、和人さんを今動かしている『力』とは何ですか?」 そう、ここだ。 俺の魔力がなにかに変換されているとしたら、それは一体何なのか? 「申し訳ない。そこまでは分からないっす……」 だが、マーリンは首を横に振った。 天才に分からないのなら、いま俺があれこれと考えても答えは出ないのだろう。 ひとまず謎パワーの解析は後にすることにした。 「また何か分かれば連絡するよ。あ、和人くんはちょくちょく顔を出すように。実験材料にするっす」 「最後のは聞かなかったことにするよ」 二度とここへは来るまい。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加