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「だけどそこは天才魔術師マーリンちゃん。キミの中に流れる微量の魔力を解析したっす」
「あ、あの一瞬で……」
「結果、キミの中の魔力は『何か別の力に変えられている』ことが分かったんスよ」
「別の力……?」
マーリンはひと息吐くと、話を続ける。
「キミの魔力は別の力に変化させられている。というより、キミの体がそうさせているんだ。つまりキミは魔力とは別の強力な何かで動いているってことっす。筋力が増したのはそのせい、恐らくは空腹も魔力を変換する際に使うエネルギーの消費、及び魔力の補給によって引き起こされているんだろう」
「なるほど……さすが」
「まぁ天才っすからね。そして魔力の変換ははっきり言って異例だ。異常と言ってもいい。きっとキミが掴んだ『光の珠』がそうさせていると見て間違いなさそうっす」
光の珠……『理想』の影響、か。
取りあえず命に別状はなさそうだけど、そうなってくると気になることが出てくる。
「マーリンさん。では、和人さんを今動かしている『力』とは何ですか?」
そう、ここだ。
俺の魔力がなにかに変換されているとしたら、それは一体何なのか?
「申し訳ない。そこまでは分からないっす……」
だが、マーリンは首を横に振った。
天才に分からないのなら、いま俺があれこれと考えても答えは出ないのだろう。
ひとまず謎パワーの解析は後にすることにした。
「また何か分かれば連絡するよ。あ、和人くんはちょくちょく顔を出すように。実験材料にするっす」
「最後のは聞かなかったことにするよ」
二度とここへは来るまい。
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