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「さゆり」
「……あ」
不意に名前を呼ばれ、見上げるように顔を上げると一瞬視線が交わった後明の唇が私の唇にそっと重なる。
何度か啄むようなささやかな口づけを交わすと、お互いの唇の隙間から小さな吐息がこぼれた。
「誕生日、おめでとう」
「……誕生日、だから……もうちょっとわがまま言ってもいい?」
「どうぞ?」
小さく首をかしげる明の肩に手を添えて小さく背伸びをすると、明もその意図を汲み取ってくれたのか小さく笑みをこぼしたあと私の腰へ両手を回す。
そうして、私たちは暖かな光に満たされた玄関で優しい口づけを再び交わした。
end
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