優しい人、優しかった人

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薫の様子が気になりつつも、志信はその事には触れず、薫を連れてハンバーグレストランに向かった。 席について、志信はメニューを見ながら薫の様子を窺ってみる。 (機嫌悪いのかなぁ…。) 志信の視線を感じた薫が、急に顔を上げた。 「何?」 志信は少し焦りながらそれをごまかす。 「いや…決まったかなーって。」 「うん、和風ハンバーグにする。」 「オレも同じでいいや。」 和風ハンバーグのセットを二人分注文して、志信はタバコを取り出そうと上着のポケットに手を入れた。 「あ…そうだ、もうタバコなかったんだ。」 「あげようか?」 「いや、買ってくるよ。もし料理が来たら食べてていいから。」
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