優しい人、優しかった人

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店を出てタバコを買うため、たくさんの店が軒を並べるモールの中を歩いている時、志信はジュエリーショップの店先で足を止めた。 (アクセサリーかぁ…。) 志信はショーケースの中を覗き込む。 (あ…ウサギだ、かわいい…。) 小さなダイヤがあしらわれたウサギのモチーフを見て薫を思い出し、志信はそのネックレスをジッと見つめた。 (卯月さんは、こういうの好きかなぁ…。かわいいけどキレイで子供っぽくないし、似合うと思うんだけど…誕生日でもなんでもないのに、恋人でもないオレがアクセサリーなんかプレゼントしたら…引くかな…?) しばらくネックレスを眺めた後、志信は小さくため息をついて、ショーケースから離れた。 (なんかきっかけがあればな…。) 気が付けばいつの間にか、頭の中はいつも薫でいっぱいになっている。 薫の事を、もっと知りたい。 薫の喜ぶ顔が見たい。 自然にアクセサリーをプレゼントできるくらいの関係になれたらと思う。 自分の選んだアクセサリーを着けて笑ってくれたら、きっと幸せな気持ちになるのだろう。 (指輪とか…贈れるようになりたいな…。今のままじゃ無理だけど…。)
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