優しい人、優しかった人

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「お腹空いたよ…。御飯、食べに行こ。」 「そうだな。ハイボールも飲みたいな。」 「うん、飲みたい。」 「よし。行こう。」 志信はベンチから立ち上がると、薫の手を引いて立ち上がらせた。 「どこに行こうかなぁ…。」 手を握ったまま歩き出そうとする志信に、薫は少し照れ臭そうに声を掛ける。 「笠松くん…手…。」 「あ、ダメだった?」 「ダメ。離して。」 「なんで?さっきまでずっと、手繋いで歩いてたじゃん。」 「もう離していいから。」 「えー…。」
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