優しい人、優しかった人

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随分酔っているなと思いながら、志信は薫の様子を窺っていた。 「自分の知らないうちに浮気相手にされてた人の気持ちなんて、わからないよねぇ…。」 「えぇっ…?!」 (なんだ?そんな事があったのか?) 「話したいなら聞くよ?」 「話したくないよ…。でも、あんな思いは…もうしたくない…。」 目を閉じたまま、また涙を流す薫を見て、志信は静かに薫の隣に座って頭を撫でた。 「つらかったの?」 「うん…だからもう…恋愛なんてしない…。」 「そんな悲しい事言うなよ…。」 志信はいたたまれない思いで、薫の肩を抱き寄せた。 「みんながみんな、そんな男ばっかりじゃないから…。」
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