切なさに身を焦がす夜

1/20
前へ
/289ページ
次へ

切なさに身を焦がす夜

土曜日。 日射しの眩しさに目を覚ました志信は、ゆっくりと目を開いて辺りを見回した。 「もう昼前か…。」 知らないうちに、リビングの床に転がって眠ってしまったらしい。 テーブルの上には何本もビールの空き缶が転がっている。 夕べ、薫と別れて一人帰宅した後、何もかも忘れてしまおうとビールを煽った。 灰皿には溢れんばかりの吸い殻が積み上げられている。 夕べの事を思い出し、志信はため息をついた。 (卯月さん…あんな所に置いてきぼりにしちゃったな…。ちゃんと帰れたかな…。) 抑えきれない感情を薫にぶつけてしまった。 酔っていた薫には、きっとわけがわからなかっただろう。 冷静になると、悪い事をしたなと罪悪感を感じた。
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2535人が本棚に入れています
本棚に追加