切なさに身を焦がす夜

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(傷付いてたのは卯月さんの方なのに…。) 酔った薫の口から聞かされた言葉が、志信の脳裏に蘇る。 “自分の知らないうちに浮気相手にされていた人の気持ちなんて、わからないよねぇ。” “あんな思いは、もうしたくない…。” “だからもう、恋愛なんてしない…。” 社内恋愛をした事があるか、とも聞いていた事を考えると、薫もかつては社内恋愛をした事があるのだろう。 相手に彼女がいる事を知らずに、本気で好きになって、おそらく深い仲だったのだと思う。 その恋がどんな風に終わりを迎え、どれほど薫が傷付いたのかは知らない。 それでも、もう恋愛なんてしないと言うほどその傷は深く、今でも薫が苦しんでいると言う事だけはわかる。 (だから社内恋愛は嫌だって言ったのかな…。相手も、もしかしてその彼女も、社内の人間とか…。)
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