切なさに身を焦がす夜

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その日の夕方、志信はあのジュエリーショップへ足を運んで、ウサギのネックレスを買った。 (とりあえず、昨日の事はちゃんと謝ろう。理由はどうあれ、あんな遅い時間にあんな所に置いてきぼりにしたのは男としてどうかと思うし…。それに、一方的に怒鳴り付けたりして…やっぱりそれは、オレが悪い。) それから、薄い黄緑色のレターセットと青いインクのペンを買った。 面と向かって想いを伝えれば、また薫に冗談はよしてと一蹴されるかも知れない。 少しレトロな手法ではあるが、この想いを手紙と言う形で、素直に綴ってみようと志信は思った。 どれだけ薫の事が好きなのか、どれくらい真剣にこの先も薫といたいのかを伝えれば、少しでも薫の心に届くかも知れない。 (ラブレターなんてガラでもないんだけど…。メールとか口で言うより、伝わりそうな気がするんだよな…。)
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