切なさに身を焦がす夜

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家に帰って、早速レターセットを広げた。 さっき買った青いインクのペンを左手に、何から書き出せばいいのかと考える。 (ずっと好きだった、とか…?オレが幸せにするから…とか…?) 長い時間、いろいろと思い悩んで、何度も書き直した。 何度書き直しても、納得のいく文面にはほど遠い。 (はぁ…。オレって文才ねぇな…。小学生の作文じゃあるまいし…。カッコつけても仕方ないか…。素直な気持ちを書くしか…。) この気持ちを綴った手紙を、薫はどんな顔をして読むのだろう? やっぱり、冗談はよしてと笑うのだろうか? それとも、同期としてしか考えられないとバッサリ切り捨てられるのだろうか? (せめて…オレがどれくらい真剣に好きなのかって、わかってくれたらいいんだけどな…。)
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