切なさに身を焦がす夜

8/20
前へ
/289ページ
次へ
窓の外はすっかり暗くなった。 随分悩んで、何度も書き直して、やっとの思いで薫への手紙を書き上げた。 志信はタバコに火をつけて、冷めきったコーヒーを飲み干した。 (問題は、いつどこで渡すか…だな。) とりあえず、謝るなら早い方がいい。 何日も放っておいたら、どんどん気まずくなっていくような気がする。 謝るだけ謝って、プレゼントと手紙は別の日に渡すのがいいのか、それとも“ごめん”と謝って渡せばいいのか。 社内の人間の目を考えると、会社で渡すのは難しい。 社外で渡すとすれば、いつどこで渡すべきだろう? (会社の帰り?でもそれだと明後日の夕方まで渡せないんだよな。先にメールで謝って…。) タバコを吸いながら志信は思いを巡らせる。 志信は灰皿の上にタバコを揉み消し、手紙をネックレスの入った紙袋に入れて立ち上がった。 (まどろっこしい事はやめた。ちゃんと顔見て謝って、気持ちを伝えよう。)
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2533人が本棚に入れています
本棚に追加