切なさに身を焦がす夜

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薫は近所のスーパーに足を運んだ。 カートを押して、野菜や肉などの食材を選んでかごに入れ、ちょうど特売になっていたビールを箱ごと乗せた。 レジでタバコを2カートン買い、すべての会計を済ませて、買った物を袋に詰めた。 (しまったなぁ…。車で来れば良かった…。) 安くなっていたので思わず箱買いしてしまったビールをジーッと眺める。 (頑張れば、なんとか持って帰れるか…。) 薫は買い物袋を腕に提げ、ビールの箱を両手で抱えた。 買い物袋を持っている上に、500mlの缶ビールが24本も入った箱はかなりの重さで、しばらく歩くと、その重さで腕がしびれそうになる。 (買っちゃったものはどうしようもない…。) 重い荷物を抱えながら歩いていると、後ろから誰かに肩を叩かれ薫は振り返った。 「あっ…。」
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