切なさに身を焦がす夜

13/20
前へ
/289ページ
次へ
薫は堪らず思いきり浩樹の手を振り払い、耳を塞いだ。 「もうやめて!!なんで?なんでそんな事が言えるの?あんなひどい捨て方しておいて…奥さんも子供もいるくせに…また私を都合のいい女にしようと思ってるの?今更そんな事聞きたくない!!」 浩樹は小さく肩を震わせる薫を抱きしめて、優しく頭を撫でる。 「ごめん…。ホントにごめん…。でも、薫が好きなんだ。」 「やめてよ…。もうあんなみじめな思いはしたくない…。」 「彼女とは去年別れた。薫の事を忘れられないままで、結婚生活がうまく行くはずなんてなかったんだ。」 「そんなの…私には関係ない…。」 薫が浩樹の腕から逃れようと身をよじると、浩樹は更に腕に力を込めた。 「薫…もう一度、オレと付き合って欲しい。」 「何言ってるの…。ふざけないで…。」
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2532人が本棚に入れています
本棚に追加