切なさに身を焦がす夜

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「オレは本気だよ。」 「離して。触らないで…。」 「あの販売事業部の彼と付き合ってるから?」 突然志信の事を言われ、薫は慌てて否定した。 「違う…。笠松くんはそんなんじゃない…。」 「だったら、今度こそ薫を幸せにするから…もう一度チャンスをくれないか。頼む…。」 (信じられるわけないのに…なんで…?もう恋愛なんてしないって…あなたの事なんて好きじゃないって…ハッキリ言わなくちゃ…。) 頭ではそう思っているのに、あの時欲しかった浩樹の言葉が、薫の心を揺るがした。 (好きだった…。ホントに好きだった…。) つらくて苦しくて悲しかった想いが、涙になって薫の頬を伝った。 「薫、ごめん…好きだよ。」 薫は浩樹の胸に顔をうずめて泣いた。
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