2532人が本棚に入れています
本棚に追加
「今の人…昨日卯月さんが言ってた人?」
「え?」
「好きだ…って。」
そんな言葉を薫の口からはハッキリと聞いたわけでもないのに、志信はわざとそれらしく尋ねた。
「私…そんな事言ったの…?」
「うん…。良かったな…想いが通じて。」
「……。」
何も答えない薫に、志信は笑って手を振った。
「オレなんかといると、誤解されちゃうか。もう…誘わない方がいいかな。じゃあね。」
「待っ…。」
背を向けて歩いて行く志信を呼び止めようとして、薫はその言葉を飲み込んだ。
そして薫は静かにドアを閉めて、玄関にしゃがみ込んだ。
(呼び止めてどうするつもりだったの…?笠松くんには好きな人がいて、私は…。)
最初のコメントを投稿しよう!