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(卯月さんにとっての特別な人は、オレじゃなかったんだな…。一度くらい、“薫”って呼んでみたかった…。)
倒れそうになった薫を抱きしめて額にキスした事も、酔って泣いている薫を抱きしめた事も、自分にとっては胸が痛くなるほど切なかった。
だけどもう、薫のそばには想い続けた人がいるのだと、志信は告白もできなかった自分を責めた。
(もっと早く勇気出して声掛けて告白すれば良かったのかな…。)
どんなに悔やんでも、過ぎた時間は戻らない。
そんな事はわかっているのに、勇気がなくて告白もできなかった不甲斐ない自分を、悔やんでも悔やみきれない。
(始まってもいないのに終わっちゃったんだな…オレの恋…。)
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