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「ですって。良かったですね、卯月さん。自信持って下さい。」
薫は志信の言葉に、顔を真っ赤にしたままうなずいた。
「じゃあ、あとはよろしく。」
手を振ってさっさと帰って行く梨花の背中を目で追いながら、志信はわけがわからずぐるぐると思いを巡らせた。
(あとはよろしくってなんだ?!この状況でオレにどうしろって?!)
「あの…笠松くん…。」
薫を腕の中に受け止めたままの格好だった事に気付いた志信は、慌てて手を離した。
「あ…ごめん。」
二人でほんの少しの間、うつむいたまま何も言えずに黙り込んでいた。
「あの…このままここで立ちっぱなしってのもなんだから…良かったら上がって…。」
「うん…。」
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