希望

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僕たちは、元いた場所に戻ってきた。 ふと、ニゴは思い出したようにこちらを向いた。 「そうだシロヤ。このスペースって言葉の意味を知ってるか?」 「え?宇宙空間とか余白のことじゃ?」 「もう一つ意味があってな、古い言葉で“希望”のことだ」 僕はニゴをまじまじと見つめた。 その時にはもう普段のボーッとしたニゴに戻っていて、気持ちを読み取ることはできなかった。 僕が今、ここにこうしている意味を考える。 必要な物を与えられた世界は、それだけで歪んではいないか。 欲ではなく、僕が本当に望むことは何なのだろう。 見つけることが、この世界で生きてゆくことなのかもしれない。 【完】
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