おめでとう

2/12
前へ
/12ページ
次へ
「2度目の二十歳の誕生日おめでとーう!!」 夫が満面の笑みで食卓の中央にデコレーションケーキを置いたので、無性に頭に来た。 もう、マッチ棒みたいなローソクではケーキの表面が隠れてしまうため、ロウで形どられた数字が『40』を告げている。 自分だって後2年で2度目の二十歳のくせに。 嬉しそうにライターで火を点ける年下の夫を、しっかり睨んでおいた。 なんだろう。 30代への移り変わりの時は、ここまで気持ちは滅入らなかった。 それに、世間の対応も変わらなかったし、年齢に対する焦りも薄かった。 『40代』。 ついにこの時が来たという焦燥感。 私はもう、単なるおばさんにひと括りにされて、古新聞としてゴミ置き場に放置されるのだろうか。  
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加