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私の言葉を照れながら受け入れる長男の顔を見ながら、頭に過る自分が発した『さすが女子だわ』。
例えおばさんの集いでも『女子会』と称される昨今。
今まで私はそれを、鼻で笑いながら聞き流していた。
なにが女子会だ、無理せず相応に『お茶会』程度で我慢すればいいのに。
でもいざ自分がおばさんの域に達すると、『女子』に未練を覚える矛盾と情けなさと、見苦しさ。
一番受け入れることが出来ていないのは、私じゃないのか。
そして何より、息子が彼女を作り、私から離れていく寂しさ。
ママ、ママ、と私に付いてきたあの甘えん坊の息子が、いつしか私を『母さん』と呼ぶようになり、私に頼るより友達に頼る姿が頻繁になった。
高校2年の秋には、初めて彼女を紹介された。
おとなしそうで、素朴で、真面目そうな少女を、私はたいそう気に入ったはずだったのに。
それでもやっぱり、本物の女子である彼女と、おばさんと化した自分を比較して、こんなにも惨めな気持ちになる。
浅ましい。
財布への感動の涙が、惨めさの涙に変わる前に、私は椅子から立ち上がった。
「さ、ケーキ食べよ。みんな食べるでしょ?」
もちろーーーん!!!
声を揃える家族の笑顔には、何一つ罪はない。
5人分のお皿とフォークをカチャカチャと揃え、ケトルでお湯を沸かし、胸の暗闇の原因が分かったことに愕然としながらも甘い甘いケーキを平らげた。
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