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9 シュラシュラ・ばあ
先輩が、彼女との間を終わりにしようとしている事は分かった。
しかも、再来週に控えた秋の連休に
ケジメが付けられるように計画するとも言っていた。
そして同時に分かった事が、もう一つ。
もう、マイカに迷惑かけることはねぇから。
あの言葉で、やっぱり先輩が週末に彼女に言ったのは
方便だった事も、はっきりした。
そして今の私は、撃沈決定状態で告白をした高校生の頃とは、もう違う。
しかし一方で、いつもの笑顔で先輩から自主トレを誘われれば
やっぱり私は、理性の声なんか丸無視。
しかも、気持ちは正直なもので、気付けば週末を心待ちにしている自分がいる。
そのせいで、この10日余りの間、
私の心は、まるでジェットコースター並の浮き沈みを繰り返してばかり。
だが、色々な事が明らかになったお蔭で、
心の中のモヤモヤだけは少し晴れてきた。
だから仕事が手に付かなくなることも、もうない。
そしてそれは、例によって私から滲み出ていたのだろう。
「心配事は、解決したのかな?」
午前のまだ早い時間、デスクの脇を通りかかった福澤に、不意に声を掛けられた。
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