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しかし私は、いきなり図星を射抜かれ、
ドキッとした胸の内もそのままに、にわかに顔を強張らせた。
「えっ……?」
しかし福澤も、さすがにこんな私には慣れたもの。
「なんかこのところ、少し心ここに有らずって感じだったから。
何か、心配事でもあるのかなって思ってたんだけど」
「えっ? あ、ええっと、心配事っていうか、ちょっと飛ばっちりというか……」
はっきり言って、誤魔化しなど用意もなかった私の思考は、
一気にパニックになった。
そのせいで、つい先日の先輩の言葉を、すんなり口にしてしまう。
だがそれに、福澤の顔がわずかに曇った。
「何か、厄介事にでも巻き込まれたの?」
そんな彼に、私は慌てて激しくかぶりを振った。
「違うんです。全くの誤解なんです。
けど、なんていうか、偶然が招いた飛ばっちりというか……。
あっ、でも、もう大丈夫ですので」
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