8 嘘から誠は出ず(続き)

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週半ばということもあり、店は、それほど混んでもいない。 だが、ざっと見渡してみるも、まだ先輩の姿も見当たらない。 しかし、キョロキョロする私に気付いた店員が近寄ってきた時、 不意に背後の扉が開き振り向くと、そこに先輩の姿があった。 「おう、遅れて悪い」 それが、この日の彼の謝罪の皮切りだった。 すぐにも案内された席で向かい合い、まずは簡単な注文を終える。 そして、 「この前は、本当にゴメンな。 まさか、あんな風に、お前を巻き込むことになろうとは思ってなくてさ。 俺も、さすがに慌てちまって……」 おしぼりで手を拭いながら項垂れる先輩に、更に謝罪をされる。 だが私は、どんな言葉を返せばいいのか混乱していた。 だから、ただ「いえ……」と呟きつつ、かぶりを振るばかり。 そして、そんな私の目の前に戻ってきた先輩の顔には、 はっきりとした困惑と疲労が浮かんでいた。
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