8 嘘から誠は出ず(続き)

3/9
前へ
/38ページ
次へ
「正直、何から話せばいいのか、まだ俺も混乱してんだけどさ」 そう言って始められたのは、先輩の彼女との別れ話。 「アイツは、俺が大学に入って、すぐにカテキョに着いた生徒でさ。 だから、あっちが大学に合格するまでは、ただのカテキョと生徒。 それで、地元の女子大に受かったご褒美にデートしてくれっていうから、付き合ったんだ。 でも俺としては、あくまでもそれはカテキョの延長だった」 だから当然、彼女の大学合格で家庭教師は終わり。 先輩自身も、ご褒美デートで最後のつもりだったという。 「けど、そのご褒美デートの時に告られてな」 しかし当時の彼は、彼女の気持ちに応える気持ちもなかったらしい。 しかし彼女は、諦めなかったのだろう。 それからも、彼女の家族と一緒の食事やイベントなど、 二人だけではない誘いを繰り返してきたという。 「それでも、もちろんアイツの気持ちは伝わってきてた」
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加