8 嘘から誠は出ず(続き)

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きっかけは、家族ぐるみでも構わない。 それでもいつかは、自分に彼の目が向いてくれれば――。 だが、そんなひた向きな彼女の想いよりも、 元々、彼を気に入っていて、家庭教師をしていた頃から食事など世話になった 彼女の家族からの誘いは、彼にしてみれば、無下に断り続けることも出来なかったらしい。 「けどさ、アイツの親父さんは、デカくはないけど俺の学部系の会社を経営しててな。 はっきり言って、一人娘がそんなに惚れこんでるなら 将来の婿候補としてもって感じが、ダダ漏れでさ」 最初は、それがひどく嫌だったという。 しかし一方で、彼女の一途さに、少しずつ情は募っていった。 そして、曖昧な関係のまま時が過ぎること、半年余り。 やや根負け気味に付き合い始めたのが、彼が大学3年の秋頃だったという。 「ちょうど、ボチボチ就活準備って時期だったし、 その頃は妹もまだ小さくて、俺がこっちに戻っても 今の嫁さんとの関係なんかも面倒かなって、 実は、あっちでの就職を考えてたんから、まぁいっか的にな」
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