16人が本棚に入れています
本棚に追加
きっかけは、家族ぐるみでも構わない。
それでもいつかは、自分に彼の目が向いてくれれば――。
だが、そんなひた向きな彼女の想いよりも、
元々、彼を気に入っていて、家庭教師をしていた頃から食事など世話になった
彼女の家族からの誘いは、彼にしてみれば、無下に断り続けることも出来なかったらしい。
「けどさ、アイツの親父さんは、デカくはないけど俺の学部系の会社を経営しててな。
はっきり言って、一人娘がそんなに惚れこんでるなら
将来の婿候補としてもって感じが、ダダ漏れでさ」
最初は、それがひどく嫌だったという。
しかし一方で、彼女の一途さに、少しずつ情は募っていった。
そして、曖昧な関係のまま時が過ぎること、半年余り。
やや根負け気味に付き合い始めたのが、彼が大学3年の秋頃だったという。
「ちょうど、ボチボチ就活準備って時期だったし、
その頃は妹もまだ小さくて、俺がこっちに戻っても
今の嫁さんとの関係なんかも面倒かなって、
実は、あっちでの就職を考えてたんから、まぁいっか的にな」
最初のコメントを投稿しよう!