16人が本棚に入れています
本棚に追加
ところが、その翌年に本格的に就職活動を始めて間もなく、彼の父親の病気が判明。
余命宣告される病ではないが、
いつ何かがあっても不思議ではないという結果だったらしい。
そしてそれからは、彼の状況は一変した。
「親父は、病気のせいで、それまでの仕事から閑職へと異動になって、事実上の降格。
もちろん給料だって減って、正直、家計は苦しくなるのは時間の問題だった。
でも俺は、お袋の両親が亡くなった時に幾分かの遺産を残してくれてたから、
残りの学費は、そこから賄える。
けどそのころ妹は、まだ幼児だったし、すぐに保育園も見付からないから
親父の嫁さんも仕事には出られなくてさ」
それで彼としては、今後、父親の稼ぎと貯蓄は
全て妹たちの生活に使ってもらうこと。
そして父に万が一が有った場合は、自分が経済的な支えもするつもりで
こちらへの就職に切り替えたという。
最初のコメントを投稿しよう!