8 嘘から誠は出ず(続き)

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ところが、その翌年に本格的に就職活動を始めて間もなく、彼の父親の病気が判明。 余命宣告される病ではないが、 いつ何かがあっても不思議ではないという結果だったらしい。 そしてそれからは、彼の状況は一変した。 「親父は、病気のせいで、それまでの仕事から閑職へと異動になって、事実上の降格。 もちろん給料だって減って、正直、家計は苦しくなるのは時間の問題だった。 でも俺は、お袋の両親が亡くなった時に幾分かの遺産を残してくれてたから、 残りの学費は、そこから賄える。 けどそのころ妹は、まだ幼児だったし、すぐに保育園も見付からないから 親父の嫁さんも仕事には出られなくてさ」 それで彼としては、今後、父親の稼ぎと貯蓄は 全て妹たちの生活に使ってもらうこと。 そして父に万が一が有った場合は、自分が経済的な支えもするつもりで こちらへの就職に切り替えたという。
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