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「だから、その事情を説明して、
どの道、将来は跡取り婿と縁組するアイツにも
付き合いを続けたとしても、あと一年余りってことを説明して、別れを切り出したんだ」
しかし、お互いの立場を根気強く話し
二人の間に生じる遠距離が埋まる日は来ないと説明するが、
彼女は別れることを拒否。
「それからは、付き合ってるっていうより、別れ話が、まとまらないまんま
俺は、こっちに戻ってくることになってさ。
でも、絶対に彼女は別れないっていうし、アイツの両親からも
ウチの親父に何かあれば、最大限の援助をするからとか持ち掛けられて
もう、グチャグチャ」
そう溜息交じりになった先輩は、汗をかき始めたビールのジョッキを少しだけ傾ける。
しかし、その様子を目に、私の中で小さな疑問が浮かんだ。
「でも先輩、彼女さんは、今でも別れる気はないんですよね?」
尋ねた私に、先輩は、大きな溜息と共に面倒臭そうに頷いた。
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