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「実は、就職して2年くらいは、俺も仕事に慣れるのに必死でさ。
正直、アイツとの事に構ってる余裕は、これっぽっちもなかったんだ。
けど、この春にアイツも大学を卒業してさ。
一応、親父さんのコネで知り合いの会社で仕事を始めたんだけど、腰かけ見え見えでな」
そして梅雨も明ける頃から、本格的に結婚話を持ち掛け始めてきたのらしい。
「でも俺、ちゃんとアイツの両親にも、俺の事情も気持ちも説明してるし、
いい加減うんざりしててさ。
この夏休みに、きちんとケリ付けようと思って、アイツ一家に話をしに行ったんだよ」
だが、どんなに小さくとも社長という立場の彼女の父と
平のサラリーマンでは力が違い過ぎた。
お蔭で、どんなに彼の事情を話しても、
簡単に解決法やら代替案やらが飛び出してきてしまう。
「だから、もう正攻法は無理だと思って、
新たに付き合う人が出来たことにして、俺を諦めてもらうように頼んだんだ」
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