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しかし結果は、この週末の彼女の登場が物語る通り。
それどころか、一層、彼女の想いの炎を焚きつける結果となってしまったらしい。
「アイツさ、あっちの女性らしく、一途に尽くすタイプなんだよ。
けどその分、相手への情熱も半端なくてな」
先輩は、苦笑とも疲労ともいえない複雑なものを口元に浮かべる。
「だから、俺の気持ちに自分が入る隙が一分もないって状況にならないと、
絶対に納得しないと思ったんだ。
けどそれで、まさか、いきなりこっちに来るとは思ってなくてさ。
なんか偶然だったとはいえ、お前にまで飛ばっちり食わせちまって……」
本当にゴメンな。
先輩は、居場所がないように、小さく頭を下げた。
だがその瞬間、私の心のどこかから声がする。
気持ちを伝えるなら、今よ!
しかし私は、にわかに言葉に詰まったまま、かぶりを振っただけ。
そして、やっと口を突いて出て来たのは、別の言葉。
「それで、彼女さんは納得されたんですか?」
だが、今度ため息交じりにかぶりを振ったのは、先輩の方だった。
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