8 嘘から誠は出ず(続き)

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「一応、空港まで送って、とにかくあっちに帰る事に同意させるだけで、一晩かかった。 でも、朝一の便で帰るには帰ったけど、まだ別れることには同意してもらえてない」 それを聞いて、すごく気持ちがモヤモヤした。 そしてそれは、呑み込まずに声になる。 「あの、これからどうするんですか?」 先輩は、「うん……」と自分自身に頷くように呟いて、わずかに視線を落とした。 それから、手にしたジョッキをテーブルに置くと、ゆっくりと視線を戻してきた。 「もう、なあなあに出来るような話じゃないからな。 理由なんか何でもいいから、とにかく俺らが続かない事だけは アイツの家族も含めて、納得してもらうしかないと思ってる」 そうですか。 私は、言葉だけで頷いた。 だが胸の内は、迷いや不安や訳の分からないものでモヤモヤが濃さを増す。 そんな私たちの間に、短い沈黙が忍び入った。 しかし、それを嫌うように、先輩からちょっぴり空元気気味に言われる。 「けど、もうマイカに迷惑かけることはねぇから。 今度の週末は、新しい食材での自主トレやろうな」 思わず、胸がキュッと詰まった。 だが私は、それでも「断らなければ」という心の声を無視して やっぱり黙ったまま頷き返していた。
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