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8 嘘から誠は出ず(続き)
そして残されたメッセージは、先輩からのもの。
「週末は、ごめん。それで、出来れば近い内に時間とれないか?
連絡、待ってる」
それは、いつものあっけらかんとした感じの声とは異なり、
どこか胸が痛むように、苦しげにさえ感じられる声。
その途端、煽られるように、私の胸もなんだか苦しくなる。
だが一方で、あの事があってから悶々としていたことにピリオドが付く。
そして、その結果がどう転ぼうと、私は、受け入れなくてはいけないのだ。
そう強く自分に言い聞かせて返事をし、先輩との水曜日の夕食が決まった。
毎週、先輩がノー残業デーだというこの日。
待ち合わせ場所にしたのは、以前にも一緒に行った居酒屋。
だがこの晩は、前回とは異なり、変なドキドキを抱えて私は入り口をくぐった。
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