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「ねぇ、ソル……」
「しぃ、アオヤ!!!伏せて!!!!!」
前からの叫び声に遮られた途端、怒涛の氷魔法の攻撃が私とアオヤの周りで炸裂した。然しながら攻撃は当たること無く、逆に態と行っているのだろうか。分厚い氷の壁に閉じ込められ、私達は身動きが取れなくなっていた。傍から見れば氷の塔が出来上がっていただろう。薄ら笑う声が聞こえる、甲高い女の人の声。
「燃えなさい……雪女っ!!」
ぴしゃりと、凛とした声が聞こえると侮蔑するような笑い声は次第に小さくなって行き、周りの分厚い氷の壁は溶けていた。代わりにとてつもない熱風が後を追うようにやってきて、額に汗を滲ませた。アオヤも同様に、首元が汗ばんでいる。
微かに笑い声のする方へ視線を向けると、深い青色の髪が赤く燃え盛る炎によって徐々に溶けていく姿が。
あれが、私達を攻撃した雪女。死の間際でも、絶えず笑い続けていた。
「あたしもしぃ達の後ろに行くわ。見てて危なっかしいんだもの」
オーブを持つ手とは反対の手でぼう、と火の玉大の炎を発現させながら先頭にいたシュガーは一瞬だけ立ち止まり、後方にいた私達の更に後ろへと位置づく。
「今の…シュガーの火と風の魔法か……!!」
「その通り!大魔法使いシュガー様にかかればこれくらい御茶の子さいさいなんだから!火と風の相性は抜群よ、恐れひれ伏しなさいモンスター共っ!」
急に饒舌になりお手玉感覚で火の玉を出しそれを風の魔法で飛ばし始めるシュガー。頼もしい限りだが、一部の可愛らしいモンスターが攻撃されているのを見ると大変心が痛む…。駄目だ、ここで情けをかけてはいけない。
「シュガーちゃぁん!ケモノプリリンとセルキーちゃんにはあんまり手出ししないでねぇ!!」
「はぁ!?何言って……はいはいわかりましたよー」
何処までも気が強いあのシュガーが、ひらりさんに満面の笑みを向けられた事で簡単に折れた。一切裏表のなさそうな笑みだけど、一体どんな効果が……私も一度は向けられてみたい。兎にも角にも。良かったね、一部の可愛らしいモンスター達。
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