1.

3/5
前へ
/5ページ
次へ
「相変わらず、腐っているね。チカコは」 「おや? 間違ったことを言ってるかい?」 「とんでもございません。 そういう考えもアリだと僕は思うよ。」 昔は家族で分け合って食べることが出来た ワンホールのショートケーキも、 今となっちゃ、胃がもたれるから 一人ひとつの小さな小さなケーキで十分。 好きなモンブランを準備してくれるタイチは 私の毒すらニコニコと飲む優しい旦那 「誕生日って何であるんだろうねぇ」 「また、チカコは面白いことを言う」 「十代はまだいいだろう。あ、二十代もいいだろう。  三十、四十になればなるほど、ただ一つ歳を重ねるだけで  いいことなんてないじゃないか」 実際、友人を招いて 楽しく過ごした誕生日パーティーなど 小学生ぐらいまでじゃないだろうか。 若くありたい女性ならば、 誕生日が来なければいいだなんて言うかもしれない。 「僕は、誕生日を迎えるというよりは顧みるかな」 「おや。タイチも面白いことを言うじゃないか」 「そう? 君が無事に24歳を迎えることが出来たから  僕は君に出会えたんだよ。」 確かに、タイチとの出会いは二十四の時だ。 知り合いから紹介をしてもらい、色々と時間を過ごし 一緒になって生活をしている。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加