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理奈は必死で先ほど漆間和馬が放った言葉の意味を考えるが、頭はびくとも動かない。
完全にキャパオーバーである。
“一目惚れ”
“嫁”
そう言ってすぐ、漆間和馬は家来のような男に声を掛けられて、どこかへ行ってしまった。
「何だったの?」
理奈は自分の部屋だと言われた場所で、へなへなと力なく床に座り込んでいる。
広くて無駄な物が一切ない部屋。床には畳が敷かれ、正面には綺麗な桃色の着物が立て掛けてある。
どれほど時間が経っただろうか。
小窓から射し込む明るい光と、鳥の鳴き声に気付いた頃、理奈はようやく少し落ち着きを取り戻した。
「えーと、つまりは。当主様は私に一目惚れをしていづれは嫁になってほしいと」
そして、私は今日からここで暮らす。
そういうことだよね。
うんうん。
「うえええええぇーーーーーーー!!!!!」
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