忍び寄る影

2/15
前へ
/162ページ
次へ
雅紀はその頃、海に来ていた。 来る客来る客すべて、理奈と当主の話ばかりで堪らず、店を抜け出した。 いつもなら、理奈が迎えに来る場所。 ――はぁ……。 「姫様っていう柄じゃないだろ……」 雅紀は一人呟いた。 何で、理奈なんだ? どこかで会ったのか?話をしたのか? 理奈からは、そんな話は聞いたことがない。 「なんでだよ……!」 思わず右手にぐっと力が入ったとき、 「雅紀、さん……?」 か細い女の声が雅紀を呼ぶ。 雅紀は声のした方を振り向いた。
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加