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雅紀はその頃、海に来ていた。
来る客来る客すべて、理奈と当主の話ばかりで堪らず、店を抜け出した。
いつもなら、理奈が迎えに来る場所。
――はぁ……。
「姫様っていう柄じゃないだろ……」
雅紀は一人呟いた。
何で、理奈なんだ?
どこかで会ったのか?話をしたのか?
理奈からは、そんな話は聞いたことがない。
「なんでだよ……!」
思わず右手にぐっと力が入ったとき、
「雅紀、さん……?」
か細い女の声が雅紀を呼ぶ。
雅紀は声のした方を振り向いた。
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