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「はぁぁーーー」
疲れた。
朝食会だけで疲れたのに、その後にまさかの当主様と二人きり。
「もうやだ」
帰りたい……。
理奈は疲れきって部屋へ戻っている途中だ。
「理奈様!!!」
前に五条の姿が見えた。
理奈を見つけて慌ててこちらに駆け寄ってくる。
「どちらへ行かれてたんですか!朝食会が終わってからも、なかなか戻らないので心配していましたよ!」
五条は理奈の前に来るなり、大声をあげた。
額には、うっすらと汗が浮かんでいる。
もしかしたら、ずっと探してくれていたんだろうか?
「すみません」
当主様に呼ばれて話をしていました、と伝えると、五条は途端にとても嬉しそうな顔になった。
ふと、理奈は漆間和馬の言葉を思い出し、五条に尋ねた。
「あの、帰りたいって当主様に言っても大丈夫ですか?」
五条は意味がわからないというように、口をぽかんと開けている。
「あ、えっと、当主様が、思っていることを話していいとおっしゃって」
五条の顔はみるみる赤く染まっていく。
「いいわけないでしょうっ!!!」
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