忍び寄る影

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* 「はぁぁーーー」 疲れた。 朝食会だけで疲れたのに、その後にまさかの当主様と二人きり。 「もうやだ」 帰りたい……。 理奈は疲れきって部屋へ戻っている途中だ。 「理奈様!!!」 前に五条の姿が見えた。 理奈を見つけて慌ててこちらに駆け寄ってくる。 「どちらへ行かれてたんですか!朝食会が終わってからも、なかなか戻らないので心配していましたよ!」 五条は理奈の前に来るなり、大声をあげた。 額には、うっすらと汗が浮かんでいる。 もしかしたら、ずっと探してくれていたんだろうか? 「すみません」 当主様に呼ばれて話をしていました、と伝えると、五条は途端にとても嬉しそうな顔になった。 ふと、理奈は漆間和馬の言葉を思い出し、五条に尋ねた。 「あの、帰りたいって当主様に言っても大丈夫ですか?」 五条は意味がわからないというように、口をぽかんと開けている。 「あ、えっと、当主様が、思っていることを話していいとおっしゃって」 五条の顔はみるみる赤く染まっていく。 「いいわけないでしょうっ!!!」
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