24人が本棚に入れています
本棚に追加
疲れているのに、眠れない。
あれから五条に散々説教をされた後、屋敷の中をぐるっと案内してもらった。
五条は「やらなくていい」と言ったが、「何かしていないと落ち着かないので」と半ば強引に夕食の準備を手伝って、部屋で一人食べた。
もうすっかり夜になっていた。
部屋の窓から外の月がみえる。
今日は三日月だ。
満月だったらまだマシだったのかな……。
冷たい風。
真っ暗な空の中で光るには、三日月はあまりにもか細かった。
帰りたい。
本当にこのまま、ずっとここにいるんだろうか。
考えれば考えるほど、理奈は居た堪れない気持ちになった。
我慢していた気持ちが、次から次に溢れだす。
……会いたい。
「会いたいよ、雅くん……!」
理奈はその夜、声を殺して泣いた。
最初のコメントを投稿しよう!